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5.不安定な原子核は、放射線を出します

ここでは、不安定な原子核について、例をあげて説明します。

不安定な三重水素の原子核の中では、1個の中性子(n)が陽子(p)に変わり、電子(eで表します)を放出します。(図7)
この放出された電子をベータ(β)線といいます。

放射線を放出すると、原子核は別の原子核に変わります。
これを原子核の壊変といいます。

図7三重水素のベータ線放出
図7 三重水素のベータ線放出

次に、カリウム(Kと表します)を例にとります。

安定なカリウムの原子核は、19個の陽子と20個の中性子から構成されていますが、なかには19個の陽子と21個の中性子からなる原子核も存在します。
この原子核は不安定で、この原子核のなかの中性子1個が陽子に変わり、電子を放出します。
三重水素と同様にベータ線を放出します。
ところがこれだけで安定になるのではなく、まだ余分なエネルギーが存在するため、このエネルギーを光子(電磁波の一種)として放出します。(図8)
この光子をガンマ(γ)線といいます。

図8カリウム40のベータ線とガンマ線放出
図8 カリウム40のベータ線とガンマ線放出

次に、ウラン(Uと表します)を例にとります。

ウランには、安定な原子核を持つものはありません。
「2.陽子と中性子の組み合わせの例を説明します。」のところで説明したウラン238の原子核は、陽子2個と中性子2個を組にして放出し、一度に大きなエネルギーを減らそうとします。(図9)

図9ウラン238のアルファ線放出
図9 ウラン238のアルファ線放出

この陽子2個と中性子2個の組をアルファ(α)線といいます。
このとき、同時にガンマ線も放出します。
この陽子2個と中性子2個の組は、じつは先ほど 図4 で説明したヘリウムの原子核と同じものなのです。アルファ線の正体は、ヘリウム原子核だったのです。

次:6.放射線のまとめ

関連情報

補足説明:(4)原子核の壊変