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補足説明:(4)原子核の壊変

(1)原子核の壊変の記述の仕方

原子核の壊変の記述の仕方を説明します。
まず、三重水素の壊変を記述すると図Cのとおりになります。

図C三重水素の壊変 
図C 三重水素の壊変

(注)12.33yは半減期が12.33年であることを示します。
0.0186(MeV)は、放出されるベータ線の最大エネルギーを示します。

ここでは、原子核内の中性子が陽子に変化し、電子を放出します。(ベータ線の放出)

n → p + e

壊変の前後で、以下のとおりになります。

 壊変前壊変後差し引き
陽子の数+1
中性子の数-1
原子核の質量

ベータ線を放出すると、壊変の前後では、質量数の変化はないが、原子番号が1増えます。

次に、ウラン238の壊変を記述すると図Dのようになります。

図Dウラン238の壊変
図D ウラン238の壊変

ここでは、陽子2個と中性2個の組(ヘリウム原子核)を放出します。(アルファ線の放出)
壊変の前後で、以下のとおりになります。

 壊変前壊変後差し引き
陽子の数9290-2
中性子の数146144-2
原子核の質量238234-4

アルファ線を放出すると、壊変の前後では、質量数は4減少し、原子番号は2減少します。

(2)原子核の壊変には規則性があります。

原子核の壊変には、(1)で示したように規則性があります。

原子核の種類等によって、エネルギー状態があるため、放出される放射線の種類は同じでも、その放出される放射線の持つエネルギーは様々です。
この性質を利用して、放射線のエネルギーを電気信号に変えて測定することにより、放射線を放出する物質を特定することができます。

また、原子核の壊変の規則性のひとつに、半減期があります。

ある不安定な原子核が壊変して別の原子核になるとき、その個数が半分になるまでの時間をいいます。この時間は、原子核の種類によって様々で、短いものでは100万分の1秒程度から長いものでは100億年以上のものまであります。
なお、半減期が30年のものは、30年で半分になるのですが、さらに30年(合計60年)ですべてなくなってしまうかというと、そうではありません。
最初の30年で半分、次の30年で残りの半分(つまり4分の1)、次の30年でさらに残りの半分(8分の1)というようになっていきます。(図E)
半減期の10倍の時間が経過すると、約1000分の1になります。

図E半減期30年のときの時間と放射能の関係
図E 半減期30年のときの時間と放射能の関係

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