環境試料の放射能調査
我が国における環境放射能の水準を把握するため、国は環境放射能調査を実施しています。
日本分析センターは、原子力規制庁等の委託を受け、分析専門機関として各種環境試料の放射能分析を行っています。
また、研究機関や電力会社等からの要望に応えて、環境試料の放射能分析や空間放射線量測定も受託しています。
原子力艦寄港に伴う放射能調査
原子力艦が寄港する横須賀港、佐世保港、金武中城港(沖縄)の各港において採取された海水、海底土、海産生物等について、放射能分析を行っています。
  ○原子力艦出港時及び出港後調査
    ●海水、海底土のガンマ線スペクトロメトリー:60Co、65Zn、137Cs、144Ce
  ○定期調査(四半期ごと)
    ●海水、海底土、海産生物のガンマ線スペクトロメトリー:60Co、65Zn、137Cs、144Ce
    ●大気中放射性ヨウ素(131I)測定
    ●蛍光ガラス線量計による積算線量測定
インターネットからこれらの分析・測定結果を見ることができます。 → 原子力艦放射能調査
![]() 海水からのリンモリブデン酸アンモニウムによる137Csの捕集  | 
海水からの硫化物法による60Co等の捕集  | 
海底土のふるい分け(異物除去)  | 
海産生物の灰化(減容)  | 
![]() ゲルマニウム半導体検出器(ガンマ線測定)  | 
蛍光ガラス線量計リーダー(積算線量測定)  | 
この他、
    ●原子力艦寄港地におけるモニタリングポストデータの監視及び海水、海底土の採取
    ●調査班が採取した海水試料のNaI(Tl)シンチレーション検出器を用いた測定
    ●各港の自治体が実施する防災訓練への参加
    ●現地調査班員を対象とした技術研修
    も行っています。
また、原子力艦放射能調査支援事業(測定系)として、原子力艦放射能調査(モニタリング)を安定的に継続実施できるよう、設備の保守及び更新に関する、以下の技術的支援も行っています。
    ●モニタリング用機器の点検等の機能維持
    ●常時モニタリング実施支援
    ●モニタリング機器更新のための仕様の検討・提案
    ●モニタリング結果関係データベース運用
環境放射能水準調査
(1)環境試料の放射能分析
全国47都道府県で採取された環境試料と食物試料について、ガンマ線放出核種測定、アルファ線・ベータ線放出核種の放射化学分析を行っています。
  ○分析試料
    ● 環境試料:大気浮遊じん、降下物、陸水、海水、土壌、海底土など
    ● 食物試料:米、野菜、牛乳、海産生物など
  ○分析・測定項目
    ● 全ベータ放射能
    ● ガンマ線スペクトロメトリー(40K、131I、137Csなど)
    ● 放射化学分析(3H、90Sr、238Pu、239+240Pu、241Am、242Cm、129I、14C)
![]() イオン交換樹脂カラムによる90Srの分離精製  | 
3Hの電解濃縮  | 
シリコン半導体検出器(アルファ線測定)  | 
![]() 低バックグラウンドベータ線測定装置  | 

全国の降下物中の90Sr平均濃度の経年変化(左)、全国の牛乳中の90Sr平均濃度の経年変化(右)
 また、都道府県の放射能測定における分析比較試料の作成、分析結果の評価検討やモニタリングポストの測定に係る精度管理を行っています。
 さらに、福島県下における空間放射線量の調査も行っています。
(2)大気中放射性希ガス濃度測定
原子力施設から環境中に放出されると考えられる主な放射性物質のうち、希ガスの85Kr、133Xeの分析、測定を行っています。
    
85Krの前処理、精製及び測定装置(左)、 133Xeの前処理、精製及び測定装置(右)
(3)都道府県における放射能調査事業の精度管理
47都道府県が実施する放射能分析の信頼性と妥当性を確保するための精度管理を行っています。
    ●分析比較するための標準試料の作製
    ●分析結果の基準値との比較
    ●疑義が生じた場合の技術支援
標準試料(ガンマ線測定用)  | 
標準試料(90Sr分析用)  | 
また、モニタリングポストの測定に係る精度管理を行っています。
(4)その他
福島県下における空間放射線量の調査や、都道府県の水準調査担当者を交えた精度管理に関する検討会を実施しています。




