用語集

英数表記

ADAMS(ドーピング防止管理運営システム)

世界ドーピング防止機構(WADA)及び関係者が情報保護に関する法令に従いながらドーピング防止活動を行うことを支援するように設計された、データを入力し、保存し、共有し、報告するためのウェブ上のデータベースによる管理手段をいう。

JADA認定商品

食品・製薬メーカー等の要請により、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の審査を経て禁止表に抵触しないと認定された食品、サプリメントをいう。認定商品には、ラベルにJADA認定商品マークを付けることができる。

WADA規程 WADA Code

「世界ドーピング防止規程」を参照。

WADA規程の実施 Code Implementation

スポーツ団体が制定する規則や方針に、WADA規程の条項と精神が含まれていること。

WADA規程の遵守 Code Compliance

スポーツ団体が、WADA規程の条項と精神に従ってその規則や方針を制定し、それを実施していること。

WADA常任理事会 WADA Executive Committee

世界ドーピング防止機構(WADA)の経営と活動(活動の達成と財産の管理を含む)に責任を持つ最高決定機関。

ア行

遺伝子ドーピング Gene Doping

治療以外の目的で、競技能力を高める可能性のある細胞や遺伝因子(核酸やその部分配列)を移入したり、遺伝子発現を変化させることにより運動能力に関係する機能に影響を与える物質の注入を試みたりすること。

居場所情報 Athlete Whereabouts Information

競技会外検査は、事前通知なしに任意の場所で行われるため、競技者あるいはその代理人は所属国のドーピング防止機構(日本では日本アンチ・ドーピング機構)に毎日の居場所の情報を通知しなければならない。

違反が疑われる分析報告 Adverse Analytical Finding (AAF) 

認定分析機関又はその他の分析機関からの報告のうち、分析機関に関する国際基準及びこれに関連する技術上の文書に則って、禁止物質又はその代謝物もしくはマーカーの存在(内因性物質の量的増大を含む)が検体において確認されたもの、又は禁止方法の使用の証拠が検体において確認されたものを、「違反が疑われる分析報告」(AAF)という。但し、AAFが直ちにドーピング防止規則違反になるとは限らない(検出された物質の使用がTUEで認められている場合など)。

隠蔽薬 Masking Agents

直接に競技能力を高めるのではなく、不正な薬物使用を隠すため服用する物質。尿量を増して尿検体中の薬物の濃度を薄める利尿薬、禁止薬物が尿に出ていかないようにする再吸収促進剤、血中ヘモグロビン濃度を希釈する血漿増量剤などがあり、これらを用いることもドーピング行為とされている。

エリスロポエチン Erythropoietin (EPO)

エリスロポエチン(EPO)とその類似物は、血液ドーピングに使用される合成ホルモンで、赤血球産出を促し、筋肉への酸素供給量を高めるため、長距離系スポーツ(自転車ロードレース、クロスカントリー等)で重要な持続力を向上させる。禁止物質に指定されており、その検査では尿検査と血液検査が併用される。

カ行

外因性物質 Exogenous Agents

体内には存在しない物質で、摂取、投与、注入等により外部から体内に取り入れられたものをいう。

化学的・物理的操作 Chemical and Physical Manipulation

ドーピング行為として禁止されている方法の一つで、採取された検体の完全性・有効性を失わせようとする行為(カテーテルの使用、尿のすり替え・改質等)、静脈内への物質注入(治療等における使用は除く)、全血の連続的な除去・操作・再注入などをいう。

過誤又は過失がないこと No Fault or Negligence

ドーピング防止規程違反の疑いを受けた競技者が、次のことを証明したとき、当該競技者に過誤又は過失がないという:禁止物質または禁止方法の使用または投与を受けたことについて、自己が知らず、推測もせず、かつ最高度の注意をもってしても合理的には知ったり推測したりすることができなかった。このときには、制裁措置が取り消され、又は短縮される可能性がある。

監視プログラム Monitoring Program

禁止物質ではないが、放置するとドーピングに使用される危険性がある物質について、世界ドーピング防止規程(WADA規程)により監視プログラムが策定される。2011年度には、カフェイン等の興奮薬、モルヒネ等の麻薬が指定されている。

カンナビノイド Cannabinoids

マリファナ等の大麻及び大麻代謝物、及び合成された類似物質を指す。恐怖感、スピード感を緩和させ、競技会時の禁止物質となっている。

競技会外検査 Out-of-Competition Testing

競技会以外の場で、事前通知なしに、任意の場所で行われる検査。このため、選手は所属国のドーピング防止機構(日本では日本アンチ・ドーピング機構)に居場所情報を通知しなければならない。禁止表の「常に禁止される物質と方法」が検査の対象となる。

競技会(時)検査 In-Competition Testing

競技終了後に、通知がなされた選手に対し競技場で行われる検査。通常は、メダル獲得者、記録達成者、及び無作為に抽出された選手に対して行われる。禁止表の「常に禁止される物質と方法」と「競技会検査で禁止される物質と方法」の両方が検査の対象となる。なお、競技会時とは、別段の定めがない限り、競技者が参加する予定の競技の12 時間前から、当該競技及びその競技に関する検体採取過程が終了するまでの期間をいう。

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競技者支援要員 Athlete Support Personnel

スポーツ競技会に参加し、又はそのための準備を行う競技者と共に行動し、治療を行い、又は支援を行う指導者、トレーナー、監督、代理人、チームスタッフ、公式役職員、医師、医療従事者、親又はその他の人をいう。

禁止表 Prohibited List

禁止物質及び禁止方法を特定した表をいい、毎年更新される。4つのWADA国際基準の一つで、WADA規程の署名当事者は遵守の義務を負う。

禁止物質 Prohibited Substance

禁止表に掲げられる物質をいう。

禁止方法 Prohibited Method

禁止表に掲げられる方法をいう。

企て Attempt

ドーピング防止規則違反に加担する可能性がある、又は結果として加担したこととなる行為の過程において、実質的な段階を構成する行動に意図的に携わることをいう。ただし、企てに関与していない第三者によって察知される前に当該企てを放棄した場合には、違反を犯そうとした当該企てのみを根拠としてドーピング防止規則違反があったことにはならない。

血液ドーピング Blood Doping

赤血球中のヘモグロビンを増量させる方法あるいは物質を不正使用して、筋肉への酸素供給を促進し、それによって持続力、運動能力の向上を図ることをいう。主な血液ドーピングの方法は、(1)輸血、(2)エリスロポエチン(EPO)等赤血球を増量させる物質の投与、である。輸血には、凍結保存した競技者自身の血液(自己血)の再注入、同じ血液型の他人の血液(同種血)の注入がある。エリスロポエチンについてはその項を参照。

厳格責任の原則 Strict Liability Principle

WADA規程では、競技者からの検体に禁止物質(あるいはその代謝物やマーカー)が検出されれば、その使用が意図的であろうとなかろうと、あるいは過誤又は過失であろうとなかろうと、ドーピング防止規則違反となる。このことを厳格責任の原則という。

検査 Testing

ドーピング・コントロールの過程のうち、検査配分計画の立案、検体の採取、検体の取扱い並びに分析機関への検体の輸送を含む部分をいう。

検査対象者登録リスト Registered Testing Pool

各国際競技連盟及び各国内ドーピング防止機関がそれぞれ独立に定める、競技会検査及び競技会外検査の対象となる最高位の競技者のリストをいう。このリストは、国際競技連盟又は国内ドーピング防止機関の検査配分計画の一環として定められる。国際競技連盟は、自己の検査対象者登録リストに挙げられた競技者を、氏名又は明確に定義された特定の基準により公表しなければならない。

検査配分計画 Test Distribution Planning

ドーピング検査の権限を有する国内ドーピング防止機関(NADO)や国際競技連盟(IF)が、個別の検査を行うに先立ち策定する検査の割当て計画をいう。計画策定に当たっては、NADOの場合はいろいろな競技や種目の間でどれに高い比重を置き、IFの場合はどの国で行われるどの種目に比重を置いて検査を行えば、最も効果的・効率的な結果が得られるかを考える必要がある。そのため、必要な情報収集と実態監視、及び競技、種目、国によるドーピングの潜在的リスク評価が行われる。また、計画は必要に応じて修正及び更新されなければならない。

検体 Sample/Specimen

ドーピング・コントロールの目的で採取された生体物質をいう。尿検体、血液検体がある。検査で採取された検体はA検体、B検体に二分され、まずA検体が分析機関で分析される。A検体で禁止物質が検出された場合、競技者本人からの要求があればB検体で確認分析が行われる。

検体採取セッション Sample Collection Session

検査において競技者が直接関わる一連の過程。競技者が検査を通知されてから、検体を提出してドーピング・コントロール・ステーションを去るまでのすべての過程を含む。

国際基準 International Standard

WADA規程を支援する目的で世界ドーピング防止機構(WADA) によって採択された基準をいう。国際基準(他に採りうる基準、慣行又は手続とは対立するものとして)を遵守しているというためには、国際基準に盛り込まれた手続を適切に実施していると判断されることが必要である。国際基準に基づき公表された技術上の文書も国際基準に含まれる。

国内ドーピング防止機関 National Anti-Doping Organization

各国内において、ドーピング防止規則の採択及び実施、検体採取の指示、検査結果の管理並びに聴聞会の監督に関して第一位の権限を有し、責任を負うものとして国の指定を受けた団体をいう。上記には、複数の国により当該複数の国のために地域ドーピング防止機関として指定を受けた団体も含まれる。関連当局によって当該指定が行われなかった場合には、当該国の国内オリンピック委員会又はその指定を受けた者が国内ドーピング防止機関となる。

サ行

酸素運搬機能 Oxygen Transfer

血液が体内各組織に酸素を運搬する機能のことで、赤血球中のヘモグロビンが担っている。輸血、赤血球製剤の投与、酸素運搬機能を強化する物質の注入等、人為的手段での酸素運搬機能の強化は、ドーピング行為として禁止されている。

暫定聴聞会 Provisional Hearing

分析機関によるA検体の分析の結果「違反が疑われる分析報告」が出された場合、WADA規程第7.5項に基づき開催される略式の聴聞会をいう。競技者に対して通知を交付し、書面又は口頭で意見を聴取する機会を与えるものである。WADA規程第8条(公正な聴聞会に参加する権利)に基づく正式の聴聞会に先立って行われる。

暫定的資格停止 Provisional Suspension

「ドーピング防止規則違反の結果」を参照。

資格停止 Ineligibility

「ドーピング防止規則違反の結果」を参照。

事前通告無し No Advance Notice

競技者に予告なしに実施されるドーピング・コントロール。検査の通告の時から検体の提出までの間、競技者に対して継続して付添人が付けられる。

失効 Disqualification

「ドーピング防止規則違反の結果」を参照。

重大な過誤又は過失がないこと No Significant Fault or Negligence

ドーピング防止規程違反の疑いを受けた競技者が、次のことを証明したとき、当該競技者に重大な過誤又は過失がないという。  :事情を総合的に勘案し、「過誤又は過失がないこと」の基準を考慮した時に、ドーピング防止規則違反との関連において、競技者の過誤又は過失の度合いが重大なものではなかった。
このときには、制裁措置としての資格停止期間が短縮される可能性がある。

使用 Use

禁止物質を利用し、塗布し、服用し、注入し若しくは摂取すること又は禁止方法によりこれらを行うことをいい、その手段を問わない。

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署名当事者 Signatories

世界ドーピング防止規程(WADA規程)に署名し、同規程を遵守することに同意した団体をいう。国際オリンピック委員会、国際競技連盟、国際パラリンピック委員会、国内オリンピック委員会、国内パラリンピック委員会、主要競技大会機関、国内ドーピング防止機関及び世界ドーピング防止機構(WADA)を含む。

ステロイドホルモン Steroid Hormones

ステロイド骨格を持つホルモンの総称。主に生殖腺と副腎において産生される。男性ホルモンのアンドロゲン類、女性ホルモンのエストロゲン類が代表的。

スポーツ仲裁裁判所 Court of Arbitration for Sport (CAS)

スポーツ関係の争議の解決を促進するため、スポーツ界特有の要請に適合した手続き規則により、仲裁や調停を行う機関。すべてのスポーツ団体から独立した組織で、しばしば「スポーツの最高裁判所」と言われる。

成長ホルモン Growth Hormones

脳下垂体の副腎細胞で合成・分泌されるペプチドホルモンで、肝臓その他の組織を刺激することによって骨の成長を促すとともに、筋肉や組織の成長にも重要な役割を果たす。代謝の促進、血糖値上昇の作用もある。成長ホルモンの人為的服用はドーピング行為として禁止されている。

生物学的パスポート Athlete Biological Passport

血液検体による通常のドーピング検査では、多数の健常人の測定データに基づく基準値との比較によってドーピングの検出が行われるが、個人差の問題があるので、基準値と離れた値でもドーピングと断定できないこともある。生物学的パスポートは、ドーピングを直接検査するのではなく、選手の血液検査のデータをデータベース化し、長期的な監視を行う。個人の通常の値との比較で異常値が検出されれば、ドーピングの疑いが高い。検査結果のこのようなこのような評価法は、水平的監視(longitudinal monitoring)と言われる。

世界ドーピング防止機構 World Anti-Doping Agency (WADA)

1999年にローザンヌで開かれたスポーツにおけるドーピングに関する世界会議で、「スポーツにおけるドーピングに関するローザンヌ宣言」が採択され、これに基づき、1999年11月に世界ドーピング防止機構(WADA)が設立された。WADAは、ドーピング防止活動に対する統一基準を策定し、スポーツ団体と公的機関の取り組みを調整する、独立の国際機関であり、政府間組織、各国政府、公的機関、その他の公共及び民間機関の協力の下にIOCが主導する財団として運営される。

世界ドーピング防止規程 World Anti-Doping Code (WADA Code)

スポーツ界内、及び関係当局間の調和を図って、ドーピング防止に関する政策、規則、規制の枠組みを与える中核文書。世界ドーピング防止機構(WADA)常任理事会の承認により制定、修正され、関係のドーピング防止機関、スポーツ団体、競技者等は、この規程を遵守することが求められる。

タ行

代謝物 Metabolite

生体内変化の過程により生成された物質をいう。

蛋白同化薬 Anabolic Agents

現在最もよく検出されるドーピング物質。細胞内の蛋白質合成を促進し、結果的に細胞内の組織構築(蛋白同化)をもたらすステロイド様物質。特に筋肉組織に顕著な男性化作用を及ぼす。最初は治療薬として用いられていたが、運動能力向上のためドーピングに多用されるようになった。

治療目的使用のための除外措置 Therapeutic Use Exemption (TUE)

禁止されている物質や方法であっても、医学的に必須と認められた場合に限り、きわめて限定的に使用が許可されることがある。但し、事前許可を得ていなければ違反と判定される。我が国の場合、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に申請して審査を受ける。

付添人 Chaperone

検体採取の際に次のいずれか一つ以上の業務を行うスタッフで、ドーピング防止機関で訓練を受け、資格を与えられる。(1)検体採取に選ばれたことを競技者に通知、(2)ドーピング・コントロール・ステーションへの到着まで競技者の同伴と観察、(3)検体提出が規定通り行われたかの監視と確認。

デザイナー・ステロイド Designer Steroids

合成ステロイドの中で、体内で自然に作られる(内因性)ステロイドの構造を模して合成された薬物は特にデザイナー・ステロイドと呼ばれる。これらは体内産生物質との識別が難しいが、近年は新しい有効な検出法が開発されている。

糖質コルチコイド Glucocorticosteroids

副腎皮質ホルモンの一種で血糖値上昇等の効果があり、皮膚疾患治療のための外用薬としても流通している。大量使用による精神作用があり、また、内因性ステロイドの使用隠蔽作用もあるため、経口、静脈内、筋肉内、経直腸の競技会時使用が禁止されている。関節内、関節周囲、腱周囲、硬膜外、皮内、及び吸入使用については検査時の申告が必要であったが、2011年度禁止表ではその記述が削除された。

特定対象検査 Target Testing

特定競技者又は競技者グループを一定期間に検査対象として選択的に抽出して行う検査をいう。

特定物質 Specified Agents

禁止表には、医薬品として広く市販されているため不注意でドーピング規則違反を起こし易い薬物、あるいはドーピング物質としては比較的濫用されることの少ない薬物も含まれており、これらを「特定物質」とすることができる。特定物質を含むドーピング違反では、「この種の特定物質の使用が競技力向上を目的としたものではないことを競技者が証明できる場合」には、制裁処置が軽減されることがある。

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ドーピング・コントロール Doping Control

ドーピング検査の最初から修了までの全ての段階及び過程をいう。これには次の過程が含まれる。
(1)検査配分計画の立案(検査対象者登録リストの作成を含む)
(2)検査対象者登録リストに登録された競技者による居場所情報の提供
(3)検査会場での検体の採取及び取扱い
(4)分析機関における検体の分析
(5)申請されたTUEの認否の審査
(6)分析結果の管理並びに聴聞会
(7)不服申立ての最終的な解決

ドーピング・コントロール・オフィサー Doping Control Officer (DCO)

検体採取セッションの現場管理に責任を持つスタッフで、ドーピング防止機関で訓練を受け、資格を与えられる。

ドーピング防止機関 Anti-Doping Organization

ドーピング・コントロールの過程の任意の部分に関する開始、実施、又は執行の規則の採択に責任を負う署名当事者をいう。具体例としては、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、その他の主要競技大会機関であって自己の競技大会において検査を実施する団体、世界ドーピング防止機構(WADA)、国際競技連盟、国内ドーピング防止機関等が挙げられる。

ドーピング防止規則違反 Anti-Doping Rule Violation (ADRV)

WADA規程に定める次の行為の少なくとも一つが発生すること。
(1) 競技者の身体からの検体に禁止物質、その代謝物あるいはマーカーが存在すること。
(2) 禁止物質、禁止方法を使用する、または使用を企てること。
(3) 正式に通告された後で、正当な理由なく、検体採取を拒否すること。
(4) 競技外検査に関連した義務に違反すること。具体的には、居場所情報を提出しないことや連絡された検査に来ないこと。
(5) ドーピング・コントロールの一部を改ざんすること、改ざんを企てること。
(6) 禁止物質または禁止方法の使用手段を保有すること。
(7) 禁止物質・禁止方法の不正取引を実行すること。
(8) 競技者に対して禁止物質や禁止方法を投与・使用すること、または投与・使用を企てること、ドーピング防止規則違反を伴う形で支援、助長、援助、教唆、隠蔽などの共犯関係があること、またはこれらを企てる行為があること。

ドーピング防止規則違反の結果 Consequences of Anti-Doping Rules Violations

競技者又はその他の人がドーピング防止規則違反を犯した場合に、次に掲げるもののうちの一又は二以上の措置が講じられることをいう。
(a)「失効」:特定の競技会又は競技大会における競技者の成績が取り消されることをいい、その結果として、獲得されたメダル、得点、及び賞の剥奪を含む措置が課される。
(b)「資格停止」:一定期間にわたって、競技者又はその他の人に対して、WADA規程第10.9 項の規定のとおり、競技会もしくはその他の活動への参加が禁止され、又は資金支援が停止されることをいう。
(c)「暫定的資格停止」:WADA規程第8 条(公正な聴聞会に参加する権利)の規定に従って開催される聴聞会において最終的な判断が下されるまで、競技者又はその他の人の競技会への参加が暫定的に禁止されることをいう。

ナ行

内因性物質 Endogenous Agents

体内で自然に産生・分泌される物質。内因性のホルモン物質等と同じ化学構造のものを合成してドーピングに利用すると、一般に検出が難しいが、最近では有効な分析法が開発されつつある。

日本アンチ・ドーピング機構 Japan Anti-Doping Agency (JADA)

我が国の国内ドーピング防止機関で、2001年に世界ドーピング防止機構(WADA)の常任理事会のメンバーとして設立された。国内ドーピング検査の標準的手順の作成、ドーピング・コントロール・オフィサー(DCO)の認定、ドーピング・コントロールの実施、ドーピング防止教育、などの国内のドーピング防止活動を統括して推進している。

日本スポーツ仲裁機構 Japan Sports Arbitration Agency (JSAA) 

国内でのスポーツの訴訟を扱う機関で、2003年に設立された。

認定分析機関 WADA-Accredited Laboratory

分析機関に関する国際基準に従って世界ドーピング防止機構(WADA)により認定されたドーピング防止分析機関で、定められた検査方法と検査手続きに従い、尿その他の生物検体中の禁止物質の検出(更に必要な場合限定)の証拠となるデータを提出する。WADAは2004年以来これら分析機関の認定と再認定を行っている。世界で35の機関(うち日本に1機関)が認定されている(2010年3月現在)。

ハ行

非定型報告 Atypical Finding

分析機関が行う分析で、内生的にも生成されうる禁止物質が検出された場合、これが外部から摂取されたものかどうか判定しにくい場合がある。非定型報告はこのような場合になされる。非定型報告を受けたドーピング防止機関は所要の調査を行い、これを「違反が疑われる分析報告」とするかどうかを決定しなければならない。

不当な改変 Tampering

ドーピング検査において以下のような行為を行うこと。
(1)不適切な目的又は不適切な方法で代替すること
(2)不適切な影響を生じさせること
(3)不適切な形で介入すること
(4)結果の変更、もしくは通常の手続を踏むことの回避を目的として妨害し、誤導し、もしくは詐欺的行為に携わること
(5)改竄した情報をドーピング防止機関に提供すること

ベータ2作用薬 Beta-2 Agonists

ベータ2アドレナリン受容体を刺激し気管支を拡張する作用を持つ。喘息等の治療薬であるが、交感神経興奮作用、蛋白同化作用による筋組織量の増加を期待してドーピングに使用されるため、一部のベータ2作用薬は禁止物質となっている。

ベータ遮断薬 Beta-Blockers

ベータ1アドレナリン受容体への刺激を遮断し血圧降下を促進する。射撃、アーチェリー等集中力が重要な競技において禁止されている。

ペプチドホルモン Peptide Hormones

ペプチド構造(数個~数百個のアミノ酸がつながったもの)を持つホルモンの総称。血液に分泌されて体内の諸器官に達し、作用を及ぼす。成長ホルモン、インスリンが代表的であるが、神経伝達物質として働くものもある。

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保有 Possession

禁止物質や禁止方法の使用手段を実際に物理的に保有している状態、又は保有が推定される状態(擬制保有)をいう。擬制保有と見なせるのは、禁止物質もしくは禁止方法に対して、又は禁止物質もしくは禁止方法が存在する場所に対して、当該人が排他的に支配を及ぼしている場合か、これらに対して排他的に支配を及ぼしていない場合でも、当該人が禁止物質又は禁止方法の存在を承知しており、かつ、これに対して支配を及ぼす意図があった場合に限る。ただし、当該人がドーピング防止規則に違反した旨の通知(種類は問わない)を受ける前に、ドーピング防止機関に対する明確な表明という形により、保有の意思がなく、保有を放棄した旨を証明する具体的な行為を起こしていた場合には、当該保有のみを根拠としてドーピング防止規則違反があったとはされない。ここで定義されたことにかかわらず、禁止物質又は禁止方法の購入(電磁的その他の方法を含む)は、当該購入者による保有とされる。

たとえば、競技者の車内においてステロイド薬が発見された場合、第三者がその自動車を用いていた旨を競技者本人が証明できなければ、その自動車は当該競技者が排他的に支配を及ぼしていると見なされ、ステロイド薬を保有又は擬制保有していたとして違反が成立する。第三者がその自動車を用いていた(すなわち競技者本人が当該自動車を排他的に支配できない状態)ことを競技者本人が証明した場合でも、当該競技者がステロイド薬の存在を知っており、ステロイド薬を支配する意図があったことを証明できれば擬制保有となるが、その証明はドーピング防止機関側が行わなければならない。同様に、競技者本人とその配偶者が共同で管理している自宅の薬箱にステロイド薬が発見された場合には、薬箱の中にステロイド薬が存在することを競技者が知っており、ステロイド薬を支配する意図があったことを、ドーピング防止機関側で証明しなければならない。

ホルモン Hormones

体内の器官の働きを調節する物質の総称で、内分泌細胞や神経細胞で合成・分泌され、血液によって運ばれて別の器官に移り、そこの細胞を刺激することによってその器官に何らかの生理作用を及ぼす。その化学構造から、ステロイドホルモンとペプチドホルモンに大別される。

ホルモン拮抗薬 Hormone Antagonists

体内でのホルモンの作用に対抗して、それを抑える働きをする物質。多くの場合、ホルモンと似た構造をしているため、ホルモンが作用しようとする蛋白質等の相手(基質)に結合してしまい、そのためにホルモンが結合できず、その作用が阻害される。

マ行

マーカー Marker

禁止物質又は禁止方法の使用を示す化合物、化合物グループ又は生物学的パラメータをいう。

未承認物質 Non-approved Substances

どの国の規制当局からも治療目的のための使用が認められていないすべての薬物(開発段階にあるものや使用が中止されたものなど)。2011年度の禁止表で、分類S0として使用の禁止が明文化された。

ラ行

利尿薬 Diuretics

排出尿量の増加により禁止薬物や代謝物の濃度を下げ、それらの検出を逃れるために使われる。また、柔道、ボクシング、重量挙げ等の体重別種目で、水分の排泄を促して減量を図るのにも使われる。このため禁止物質となっている。

ローザンヌ宣言 Lausanne Declaration

1998年のツール・ド・フランス事件は、ドーピング防止活動の中核を担う国際機関の必要性を関係者に強く認識させることになった。これを受けて国際オリンピック委員会(IOC)は、スポーツにおけるドーピングに関する世界会議を1999年2月、ローザンヌに招集した。この会議で採択された「スポーツにおけるドーピングに関するローザンヌ宣言」に基づき、1999年11月に世界ドーピング防止機構(WADA)が設立された。